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生駒市の内科・循環器内科 カズクリニック

認知症の原因と食生活

認知症予防は30歳-40歳から

いわゆる認知症患者さんは高齢者をイメージされると思います。認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は20年位の年月をかけて発症します。アルツハイマー病の病態は(アミロイドβ)と呼ばれるタンパク質が脳内に過剰に蓄積して脳神経細胞を死滅させて脳が萎縮して認知症を発症することです。特徴的な病態は脳の変化はとりわけ記憶を司る「海馬」で強く現れます。

認知症予防は30歳-40歳から

糖尿病専門医の牧田善二医師がアメリカのロックフェラー大学で研究して一流の科学雑誌SCIENCE(1992年)に掲載された論文に記載されたAGE(Advanced Glycation End-products)、日本語では終末糖化産物と訳します。AGEとはブドウ糖などがタンパク質と結合して生まれる最終反応物質です。最近の研究でAGEが認知症だけでなく老化をも進める史上最強の敵であることが突き止められています。AGEをわかりやすく言うとフライドポテト、唐揚げ、ピザ、お好み焼きなどタンパク質が炭水化物と高熱で調理されたものは多くのAGEを含みます。

認知症予防は30歳-40歳から

最近の研究でアミロイドβにはAGEが多く含まれていることが報告されています。認知症を予防するためには30歳-40歳台からAGEを体内に蓄積させないことが大切になります。

認知症は糖分の多い食事から始まる。

先ほども述べましたが、認知症は老人の病気というイメージがあります。そうではなく30台、40台若いころからすべての血管にAGE(糖分+蛋白)の蓄積が始まってきていることを世界の専門家が明らかにしてきています。運動や規則正しい生活も大切ですが、糖質中心の食事をしていると、人の血管や組織が糖化してゆき老化を促進していきます。
言い換えれば、体中の細胞に酸素と栄養を送っている動脈がAGEの蓄積で固く脆くなり動脈硬化が進行すれば、ともに身体が老化してゆくということです。
身近にあるご飯やラーメン、カレーライス、パン、ケーキ、お菓子、ポテトチップスなどは私が大好きなものばかりです。美味しい食事やスイーツを楽しむことは人生の喜びの一つです。だから徐々に減らしていくことをお勧めします。

認知症は糖分の多い食事から始まる。

若いうちは脳血管の動脈硬化も低くアミロイドβは排泄されますが、高齢になると排泄能力が落ちアミロイドβが蓄積していきます。50歳―70歳からでも遅くはありませんが、30台・40台から意識して食生活を始めることが重要です。

認知症予防はいつから始めても遅くない

しかし諦めることは早計です。50歳以上でも決して遅くはありません。体内に留まるAGEはタンパクが新陳代謝の入れ替わりで組織にシンクロして入れ替わります。同様に血管内皮も代謝して数か月で細胞が入れ替わります。だから毎日食べる食事内容と量が重要になります。極端に言えば繊維の多い野菜、肉、魚が主菜で白米、パン、パスタが副菜といえる新鮮な食物です。

糖尿病と認知症

インスリンは膵臓のβ細胞からない分泌され、血糖コントロールを行います。その作用のメカニズムは私たちが食事でとる米飯やパン・パスタやケーキなどからとるブドウ糖は小腸から吸収されインスリンがエネルギーに変換してゆきますが、余ったブドウ糖はグリコーゲンに変えて肝臓と筋肉に貯蔵します。ところがそれ以上に過剰な摂取のブドウ糖は中性脂肪に変化し血中や体に蓄えられます。
もちろん、ブドウ糖は脳の重要な栄養気質です。
しかし良く考えてみてください。人類が地球上で生活を始めたのが100万年。生活の中心は狩猟生活で、肉、魚、木の実などを主食としてきました。

糖尿病と認知症

ある意味毎日が飢餓との闘いでした。約1万年前に、人類が農耕を知り穀物を主食として安定した食生活を送れるようになりました。ご案内のように人体は元来ブドウ糖中心の生活メカニズムではないのです。

糖尿病と認知症

農耕が発展して小麦や米が作られて、安定したエネルギーが摂取できるようになりました。文明が発展したのも安定した栄養源が得られたからです。 しかし豊かになった現在、過剰な糖質の摂取が多くの糖尿病患者を生み出しています。アメリカUCLAのウイリアム・パートリッジ教授が脳脊髄関門で物質の移行が困難な脳内の海馬にインスリンが取り込みされていることを発見しました。最近では海馬でもインスリンが生成されていることが明らかになってきました。食事や間食で摂取しすぎた糖質のために糖尿病を発症すれば、体の血管をはじめ、海馬の血管にもAGEが蓄積されることになります。10万kmに及ぶ人の血管に栄養や酸素を運ぶことは有酸素運動、ストレッチ、ヨガなど様々なメソッドがあります。

EPAとDHA

さて脳細胞のほとんどが脂肪で構成されています。つまり脳は細胞核のある細胞とそこから伸びる樹状突起と軸索という神経シグナルを伝達する二つです。軸索はミエリン鞘に包まれて神経細胞間のシグナル伝達速度を非常に高めます。このミエリン鞘を作るのがオメガ3脂肪酸(EPA、DHA)です。EPA(エイコサペンタ酸)は元来オキアミやプランクトンなど海の生物の体内で作られ一般に陸上の哺乳類では作られません。海の中ではイワシなどの魚がプランクトンを食べ、その魚をアザラシなどの海の生物が食べる食物連鎖でEPAが取り込まれます。1980年代のデンマークの二人の科学者が、同じデンマーク人でヨーロッパに住む人々とデンマークのグリーンランドに住むイヌイットの人々と比べると5倍程度、虚血性心疾患が少ないことを見出しイヌイットの食事の内容が青魚(イワシ・ニシン・鯖など)やアザラシを主食として大量のEPAを摂取することがわかりました。

EPAを長期に摂取すると、赤血球や血小板を中心に体の細胞や血管に取り込まれて血液をサラサラにしたり、血管の弾力性を柔らかくすること、高脂血症を改善する働きがあることが世界中の研究者により認められました。同時にDHA(ドコサヘキサエン酸)も同様の働きと脳血流改善することがわかってきました。
また最近の研究ではEPAを脳の海馬の萎縮を抑える効果も報告されてます。

認知症予防のキーワードは糖尿病予防

100歳まで生きても認知症だと人生は楽しめません。昭和時代は風邪が万病の元と言われましたが、24時間なんでも好きなものが食べられる現在において糖尿病は万病の元のチャンピオンです。アルツハイマー病の原因の最も身近にあるのがご飯やパン、パスタ、ケーキに代表される糖質を多く含む食品です。結論として糖尿病予防と適切な糖尿病治療はとても重要です。

海の食べ物と山の食べ物

ヒントは黒柳徹子さんの自伝の本の中にもありました。戦前の話ですが、学校の校長先生が生徒たちにお弁当にはご飯の他に山の物(お肉、野菜、根菜類、きのこ類)などと海の物を(お魚、貝類、ワカメや海草)を入れるんだよと教えてました。

時代とともに食べ物の指向は変わりますが、食物繊維、タンパク質、ミネラル、ビタミンを多くとるこの概念は現在においても健康を守るとても有意義なことに思われます。

さあ今日から食事のメニューにこの知恵を活用していただければ幸いです。