当クリニックでは心療内科の診療は行っておりません。またうつ病などで治療中の方はかかりつけ医師とご相談の上、参考にしてください。
多種のストレスが自律神経に与えるダメージが多いことが注目されて、現実的に心を病むに至るまでに現代のストレス社会のなかで悩める人たちを救うためにはどうすればいいのか?
ストレス大国のアメリカで科学的なアプローチでストレスを効果的に減らす研究が進んでいます。もちろん日本でも2015年12月から労働者50人以上の事業所にはストレスチェック制度が義務化されるようになり、ますます働く人のストレスを把握することが重要になっています。
現在、目に見えないストレスがどうして心を蝕むのか、ということを科学的に証明する研究がアメリカを中心に世界中で盛んに行われています。
自立神経のページでも述べていることですが、多くのストレスを慢性的に長期に受けると脳の中にある恐怖や不安を感じ取る扁桃体が活動を始めます。すると扁桃体からのメッセージで副腎から多量のストレスホルモンが分泌されます。するとその強い作用で心拍数が増加、血管が収縮して血圧が上昇します。
アメリカのアリゾナ州立大学の研究者たちはストレスホルモンの中のコルチゾールに注目して、コルチゾールが大量に分泌されるように、ネズミに長期の身体的ストレスを与えました。
すると記憶や感情をコントロールする海馬の神経が病理学的に変化を認めました。ストレスのかかってない通常のネズミの海馬の神経細胞の突起を調べると、優位にストレスを長期受けたネズミの神経細胞の突起が大量のコルチゾールに蝕まれ、破壊され、短くなっていることを報告しています。推論ですが健康な人が多種多様のストレスを長期に絶え間なく受けると大きな精神負担となり、同様の海馬の変化の可能性が示唆されました。
本来、文明を進化させてきた幸せと発展をもたらす発達した脳をもつ現代人はIQが上がり、過去の記憶力や未来の想像力が脳にしっかりとメモリーされ会社や学校が終わり帰宅しても上司に叱責されたことや友人と口論した記憶が脳に残り帰宅しても嫌な記憶が蘇ったり、また明日も会社に行けばまた上司に叱られたり、嫌いな友人から嫌味を言われたりすることを想像してしまうでしょう。このことをマインドワンダリングと呼びます。
ところで有名な科学雑誌サイエンスvol.1330で発表された研究ですが、アメリカのハーバード大学が行った2,250の人に質問する行動心理学の調査あります。施行後、回答を得たリサーチの結果、帰宅後に自宅で目の前のことを考えずに、ネガティブな過去や未来のことを考える人が被験者の中で47%もいました。ということは心身を休める自宅でもコルチゾールが過剰に分泌されることになり安住の自宅でもストレスに悩むことになります。私が尊敬する東洋医学の師匠から聞いた無心無敵という言葉を山上は私の座右の銘にしてます。つまり、考えないと悩みが起こってこない(なかなか難しいことです日々精進してますが・・・)理論です。実践的には腹をくくり上司や友人に嫌なことを言われても深く考えず微笑みで返すような余裕、例えば通勤の車を運転しているとき(誰でも早く会社に一刻も早く着きたいです)、そんな時に無理な割り込みにあっても笑って済ませます。窓あけてバカヤローは禁句です(このご時世もっと大きなトラブルに巻き込まれたりする懸念もありますし)。頭にきたときは数を10まで数えることです。怒りは自律神経をも乱し、時には人生を破壊します(やりすごす、かかわらないことが一番)。さらに前の車がウインカーを出せば、すぐに車を入れてあげる。横断歩道に歩行者(特に子供さんや妊婦さん)がいれば必ず停車する。そんな時は心の底から充実感を味わえます。これが次に述べるマインドフルネスにもつながります。
さらに世界が注目している具体的なメソッドを紹介します。叱られた失敗や嫌な事、小さなことでは買った服が気に入らなかったり、過去の失敗を引きずると容赦なくストレスが襲ってきます。これに対抗するために自分の心を幸せにすることを、心の中にリストアップしておくのです。
例えば、①大音量で好きな音楽を聴く、②家族と楽しい会話をする、③カラオケに行く、④読書する、⑤愛犬や愛猫をハグする、⑥子供や孫と遊ぶ、⑦ドライブ、⑧テニスや野球をする、⑨生駒の澄んだ夜空の星を観察する、⑩自分の好きなアロマの香り(山上ならラベンダーや木・森の香り)に包まれる、⑪困ったとき大リーグの大谷ならどうする⑫NHKのドラマの北条義時なら勇敢にどうする、など沢山準備しておくのです。
日本の広島大学が研究、発表していることですが、嫌な思いをしたときに先ほど述べたような気分をリラックスさせる方法を実際に書いて沢山リストアップします。そしてそれぞれのリラックス方法を試して、効果があったら10点満点として、それぞれに点数をつけてみるのです。最もストレスに効果があったリラックス方法を見出し、それを何度も繰り返し習慣化することでそのストレスに鈍感になり、ついにはストレスを感じない図太い神経になっていったのです。
楽しい事を思い出し、楽しい気分になることが理想的ですが、とっさに思いつかないときは掃除や整理整頓、便所掃除するのも名案です。トイレの神様の歌が流行りましたよね。一心不乱にお掃除・整理整頓すれば嫌なことも忘れ、心も晴れ晴れして運動にもなりますし、何よりも達成感が得られます。このようにあらかじめ気晴らしを準備して実行するストレス対策が有効です。そして普段から自分の最も好きな事を繰り返し思う精神と強くなることをアメリカミシガン大学の研究チームが興味深い研究発表を行ってます。自分のストレスをしっかり把握して自分が幸せを感じることを頻繁に継続して実行することで、日ごろの思考や行動を決める(認知を司る)前頭葉の一部が発達して扁桃体の活動を抑制することがわかってきました。つまり前頭葉の思考経験が扁桃体に『そんなに心配する活動することはいらないよ』と自分に言い聞かせてのストレス対策を認知するということです。実際にストレスに襲われた時の対策に一つでも多くの気晴らしを持つことが重要です。
アメリカ州立大学の研究チームは海馬の神経細胞について研究しています。大量のコルチゾールは海馬の神経細胞の突起を蝕み現象させます。臨床で、うつ病患者さんのMRI画像で海馬のボリュームは健常人に比較して減少していることがわかってきました。
日本も含めて世界のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と言われるような大企業、大学、軍隊、一般人の中で取り入れている宗教性を排除した瞑想であるマインドフルネスが多く取り入れられています。
アメリカのマサチューセッツ大学マインドフルネス研究のメッカのことをご紹介します。マインドフルネスは瞑想の概念を中心としています。手始めに背筋を伸ばして深く腰掛け、自分の深呼吸に全神経を集中させます。呼吸のことだけ考え、鼻を通る空気や肺に入ってくる空気に思いをはせます。この時に様々な雑念が浮かんできます。しかし一切考えず無心になることです。そして先ほどの呼吸のことに考えを集中させます。まず10分程度から開始してみることです。さてマインドフルネスの効果の解析ですが、前項のコーピングを思い出してください。嫌なことを脳から排除して無心になることでコルチゾールの分泌を低減させます。
ハーバード大学の専門医はマインドフルネスをおこなうことで、感情のかかわる海馬の灰白質がおよそ5%増加する結論を発表しました。
具体的に海馬の容量が減るとうつ病にかかる可能性の増加が推察されています。マインドフルネスを行ったことで一旦萎縮した海馬の神経細胞が回復することがわかってきました。さらに恐怖や不安の司令塔の扁桃体のボリュームも減少することもわかってきました。こうしてストレスへの強い反応が抑制されることが推察できます。
マインドフルネスでリラックスした心で過去と不安な未来に蓋をしてしまう。不安が問題を解決することはありません。今に集中することが重要なのです。宗教でなく科学的な根拠に基づいた瞑想をすることで心が洗われ、すっきりとした安定した心になるのです。マインドフルネスは沢山の書籍が本屋さんに並んでます。参考にしていただければ幸いです。やっぱり「病は気から」。昔の人の言葉には重みがあります。
時計もなく明るくなると起きて暗くなると眠りにつく古代からひきつがれた習慣です。それが良質な睡眠に欠かせません。日の変わる0時までに床に就き、起床時はカーテンを開けて、季節によって日の出の時刻は変化しますが起床時はカーテンを開けて地球上の生命の根源の日光を浴びると交感神経のスイッチが入ります。同時に幸せホルモンのセロトニンの分泌が活性化され、また睡眠ホルモンのメラトニンの予約スイッチが入ります。具体的にはセロトニンホルモン分泌後14~16時間後にメラトニンの分泌が最高潮になり自然の眠気を惹起します。
コーピングとマインドフルネスを取り入れて、愉快な人生を送りましょう!