血圧は血液が血管の中を流れるとき血管の壁に当たる圧力です。
●最大血圧(収縮期血圧)
心臓が収縮して全身に血液を送り出す時に血管に加わる最大の圧力です。
●最小血圧(拡張期血圧)
心臓が拡張して全身に送り出した血液が心臓に留まる時の最小圧力です。
人類は誕生以来、太陽が昇るとコルチゾール(ストレスホルモン)が上昇して日常の活動に入るため交感神経を緊張させ血管を収縮させます。血圧が上昇して覚醒、脳や体の運動機能が活性化されます。
生きていくためには狩りに出て動物を仕留めないと生活は成り立ちません。獲物と対峙したらアドレナリンが出て戦闘モードになり、ますます血圧や脈伯が上がり脳の必要な糖も分配されます。現代人も仕事に行ったり育児や介護、学校にいく際にもこのメカニズムが必要なのです。
人の血圧は刻一刻と変化しています。朝、緊張している時やストレスがかかっている時には血圧が上がりますし、夜リラックスしている時には、低くなります。ですから、一度血圧を測って高かったからと言って、すぐに高血圧とは診断をつけませんし、その後に基準値内に下がれば、一概に高血圧とは言えません。
原因が明確に出来ないものが多いですがやはり子供に高血圧の子はいませんから、エイジングによる動脈硬化や上記の様なストレスや不安定な自律神経の問題、又は食生活、運動不足などにより、高血圧の状態が続くと血液を高い圧力で送り出している心臓が多くのエネルギーを必要とし、疲弊しやすくなります。つまり高血圧は、血管や心臓などの臓器に障害をもたらすのです。その結果、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳出血、脳梗塞の原因になったりします。また毛細血管に動脈硬化が起こって血流が悪くなり、腎臓の働きも低下してしまいます。
高血圧そのものは無症状のことが多いので、日々の血圧測定や健康診断などを通じて早期に発見し、早めに対策を打つことが大切です。
高血圧の多くは前述の生活習慣病や遺伝的要因・高齢化により発症する本態性高血圧症ですが、他に基礎疾患がありそれが原因で血圧が上昇する二次性高血圧があります。
動脈硬化からや自律神経の乱れからの高血圧を示しましたが、今度はレニンアンギオテンシン系の高血圧のメカニズムについてです。最近では高血圧患者の10人に1人くらいの割合でこの高血圧の原因による患者がいるとも言われてます。
まずは人が生きるために欠かせないホルモン副腎皮質ホルモンのお話からです。背中の二つの腎臓の上に少し馴染みの薄い小さい臓器が乗っかっているのが副腎です。縁の下の力持ち的な存在である副腎がないと人は生きていけません。副腎の皮質からは糖質コルチコイド、電解質コルチコイド、性ホルモンが分泌されます。
さてここでは血圧と大いに関係の深い電解質を調整する電解質コルチコイドのアルドステロンの働きを簡単に述べます。体液の重要なナトリウムを体に保持する役目があります。
さて解剖学的には、腎臓の皮質(外側の部分)にある糸球体は体に有害な物質を濾す、ろ過機の役割があり、名前のように糸の様な細い動脈の塊で輸入細動脈から動脈血が入り濾過されて原尿ができて輸出細動脈へと血流が動脈に帰ります。糸球体に傍糸球体細胞があり常に糸球体に流入する血液量を監視しており、流量が低位化すると、循環血液量が不足していると判定してレニンというタンパク質を放出して血中のアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠという物質を作り出します。主に肺に存在する変換酵素のアンギオテンシン変換酵素(ACE)の作用でアンギオテンシンⅡとなります。アンギオテンシンⅡは強力な血管収縮作用があり血圧を上昇させます。また同時に副腎に作用して先ほど述べたアルドステロンを分泌させます。アルドステロンは腎臓の尿細管や集合管に作用してナトリウムの再吸収を促進します。これにより循環血液量が増加して心拍出量と末梢血管抵抗が増加して血圧上昇をきたします。これがレニンアンギオテンシン・アルドステロン系です。
当クリニックでもレニンとアルドステロン検査をして、異常があれば高度な基幹病院をご紹介して検査をして治療方針を決めて頂き、また当院で高血圧の内服管理をいたします。